欲望のはなし
物心ついたころにはすでに、それはそれはモノに執着する子供であった。
大切なマンガ(古本)は人に貸すことさえしなかった。
買ってもらった大切なモノは、大事に大事に保管して、使う事さえしなかった。
金にも異常に執着していた。あまり詳しくは覚えていないが、とにかく無駄遣いはしない。「守銭奴」と呼ばれていた。(親戚に)
それなのにある時、まったく物欲が無くなった。
モノに対する執着が、いつの間にか消えていた。
どうでもよくなったから、保管していた未使用のモノを使うようになった。(劣化して使い物にならないこともあった…)
マンガは布教のために喜んで貸した。
お金も使うようになった、というより関心が全く無くなった。
物欲にとらわれていたのが、自由になった……これは良いことなのでは?
以前よりも身軽になったような。
無欲を良いことと信じて疑わなかったけど、最近、
欲望はあったほうがいいという説をよく見かける。
まさにこれとか。あとは中村うさぎも、死んだら否応なしに欲なんて無くなるから、生きてるうちは欲にまみれてなんぼだとかなんとか。
確かに、欲望が無いと何もはじまらない。
「これが買いたい!」と思ったら、金を稼ぐ上での多少のいやな事には目を瞑ることができるかもしれないが、何も無ければいやな事のほうにばっかり目がいってしまって、「やっぱり稼ぐのやめとこ」ってなりがちなのでは??うーーん。
だから欲望は大事だと思う。
数年前に物欲が無くなって、まあ一切無くなった訳じゃないんだけど、詰めが甘くはなっている。じゃーもういっかー、ってなりがち。そして時が経つと欲は消え去る。
貪欲になりたい。
でもなー、貪欲になればなるほど、叶わないことが苦しくなるんだよなー、そしてこんなに苦しいのなら願わないことにする。ってなる。
あ、でも食欲には自信がある。(最近は少し薄れてるけども…)
おなかいっぱいになっても、もう一口、二口、三口ぐらいは食べてしまう。苦しいのに。
思春期あたりからずっと、過食症ぎみ?というか、苦しいのに食べてしまう、食べたくないのに食べてしまう自分がいやだった。(吐くほどではないが…)
ほんとにずっといやだなと思っていたのに、最近、ふと
こうやってわたしは生きてきたんじゃないか。
と思った。
身体はもう満足してるけど、余韻で、もう少し、もう少しとしがみつく。
これはまさに私のエネルギーの象徴なのでは。
こうやって私はしがみついて生きてきたし、生きている。
そう考えるとすこしうれしかった。